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山梨県の伝統工芸の「印伝」の手触り感に着目し、文房具用などの革小物をデザインしました。山梨県の外部アドバイザーとして関わった第一弾プロジェクトです。

URUSHINASHIKA(ウルシナシカ)プロジェクト
http://www.urushinashika.jp/

山梨県が抱えている社会的課題の解決と江戸時代から続く伝統工芸の確信を両立させながら進める官民一体となったプロジェクト。

山梨県内で捕獲されたニホンジカ由来の皮を環境負担の少ないなめし方法で純白(業界初!)に仕上げ、新たにデザインした模様(白漆)で、手触りにこだわり新たな印伝製品を作り上げました。また技術製品開発に加え「森から市場までがひとつなぎ」となった社会システムを構築することで、森林環境や生態系の保護天然資源の有効活用持続可能な生産消費のルート確保。持続可能な産業化の推進。伝統工芸の革新等の様々な効果を同時並行的に生み出し、山梨県の包括的かつ持続的な成長を図ります。

ニホンジカは古来より貴重な畜産資源として肉や毛皮が利用されてきましたが、日本では明治以降、個体数保護のため、2000年頃まで一貫して保護されてきたことでニホンジカを利用する作業も社会システムも消失。その結果現在日本各地で増えすぎたニホンジカによる環境、農林業被害、貴重な高山植物の消失生態系への影響が深刻化しています。山梨県でも適正生息数の15倍(!)のニホンジカの個体数の調整計画を策定し毎年15,000頭以上捕獲していますが、俊敏で捕獲が難しい上、上質で傷みやすくデリケートな鹿肉は、捕獲された96%以上が廃棄処分されているのが現状です。日本で最も取り組みが盛んな自治体でも地域の特産品開発の一環で食肉と革の産業活用への両立はわずか5%程度という難しさです。この度、縦割り的で相互に連携することがなかった県、市町村、猟師グループ、食肉加工施設、なめし業者、伝統工芸事業者がプロジェクトのコンセプトを共有し、ひとつなぎになり、質の高い製品作りと持続性のあるサプライチェーンを構築しました。コロナ禍でスケジュールが1年伸びましたが代官山TSUTAYAで発表しました。来季以降も引き続き関わっていきます。